“突き抜ける”成長を生む海外研修の可能性。

クオリカ株式会社

研修コース ベトナム研修

マーケットとしてはもちろん、ビジネスパートナーとしても海外の重要性が増している現在、グローバルな環境に対応できる人材を育てるには、どのような研修が必要なのでしょうか。
2017年、アイティ・アシストとともに新入社員向け海外研修を作り上げたクオリカに、その狙いを伺いました。

研修の概要

研修名

ベトナム研修

特徴

新入社員研修の一部としてベトナムでの海外研修を実施

目的

1.海外で働くことに対する抵抗感の払拭
2.異文化体験によるマインドチェンジ
3.海外で働く際に必要な事の理解/スキルの習得

対象

新入社員35名(技術職29名、営業職6名)

日数

5月中旬

想定外の環境を体験することで、人は大きく成長する

— 製造業や流通・サービス業のITソリューションプロバイダとして厚い信頼を得ているクオリカ。多くの企業がグローバルなビジネスに対応できる人材育成の方法を模索するなか、同社は、新入社員の海外研修にその可能性を見いだしています。クオリカではビジネス環境の変化にあわせて2011年から新入社員全員に海外研修を導入。責任者を務める人事部の高林部長は、次世代のビジネスに対応できる人材の育成を進めてきました。

国内研修に対して海外研修で重視するのは、「マインドセット」という高林部長。これからの時代に対応するには、ITスキル以上に、グローバルマインドの醸成やチャレンジ精神が欠かせないと力を込める。

「国内で行っている新入社員研修は、この業界で仕事するために必要なプログラミングの基礎やシステム開発がどのような工程で進んでいくのかなどを学ぶ内容になっています。新入社員はプログラミングを学んだことのある人から、まったく知らない人までITスキルがばらばら。ですから、研修で最低限のスキルをあわせることと、あわせてビジネスマナーやビジネスマインドを身につける場として考えています。
この数年、弊社のマーケットとしても、一緒に仕事を進めるパートナーとしても、海外の重要性は高まっています。弊社に限らずこれからの世の中、日本に閉じてビジネスをすることは考えにくく、グローバルで仕事をする必要があります。だからこそ、社会人になりたてのまっさらな状態で、マインドセットをしたいのです」

— これまでは中国・大連で実施してきた同社の海外研修。2017年は、その体験をより濃密なものにしようとアイティ・アシストと取り組んだのがベトナム研修でした。これまでもクオリカの入社前研修から国内研修まで担当してきたアイティ・アシストが、海外研修も含めてトータルに担当することで、「それぞれの研修の目的をより明確に、一貫して行うことができた」と高林部長は説明します。

「アイティ・アシストにはここ数年、内定者の教育や新人の国内研修を依頼しており、とてもいい信頼関係が築けています。そうしたなかでベトナム研修の提案をいただいて、一緒にカリキュラムを作り上げていきました。アイティ・アシストは海外研修に特化した会社ではないので、不安がなかったといえば嘘になりますが、同社が提携しているソフトブリッジグローバルスタディーズ社※は経験豊富でしたし、何より熱意を持って一緒にやっていただけたのが成功した理由だと思います」

※アイティ・アシストでは、海外研修はパートナーである株式会社ソフトブリッジグローバルスタディーズ社と共同で企画・運営をしている。同社は、インドやベトナムなどアジア地域での研修実績が豊富である。

— 入社前研修、国内研修、海外研修と充実した新人育成の制度を用意している同社。「海外研修が必須だとは思っていない」と話しながらも、それでも海外研修を続けるには、ある理由があります。

「海外研修で期待しているのは、突き抜けてもらうこと。人は想定外の環境を体験することで、大きく成長できる可能性がある。海外研修に一番期待しているのはその点で、今回のベトナム研修でもその可能性を感じることができました」

新人35名とスタッフ。ベトナム最大手のソフトハウス訪問

一貫して自主性を促す研修

— 国内の研修と連動したプログラムとなる今回のベトナム研修。事前に目的設定や仮説構築、事前調査を行いベトナムに向かった。期間中は、企業や大学でのディスカッション、現地企業でのインターンシップのほか、現地の様々な企業・団体・街中で実態調査を行うフィールドワークなどを行った。そして、帰国後の研修でも、ベトナムでの体験を活かす指導を受けた。研修に参加した3人は、ベトナム研修で得がたい経験ができたと振り返ります。

「ベトナムは国として未発展な部分はありますが、企業や学校で接した人たちはとても意識が高く、学生の頃から将来について目標を立ててそれを実践していて、このままでは日本は抜かれてしまうと思いました」

「とても充実した研修でした。」と話すのは、流通サービス事業部で営業職として配属された山田華伽さん。

— フィールドワークのテーマは医療。病院で働く人や患者さんにインタビューを行ったという山田さん。思い通りにインタビューが進まないなか、そこで得られた成長とは。

「これまで、自分に何が求められているかを考えて動くことはありませんでしたが、今は違います。自分に求められていることは何かを考え、結果を出すことを意識して動くようになりました。配属後も自分に求められていることは何かをいつも意識しています」

研修を通じて自身の変化を感じることができたと話すのは、製造サービス事業部の藤原育夢さん。

— 当初抱いていた海外への抵抗感を払しょくできたことに加え、自分から動くことの重要性を痛感しました。

「これまでは、言われたことをやっていれば良かったのですが、今回は自分達で考えて実践しなければなりませんでした。現地のコーディネーターは、自分達のオーダーはしっかりと聞いてくれましたが、アドバイスはありませんでした。きっと、端で見ていて想うことはあったと思いますが、自分達に任せてくれました。正直大変でしたが、実際にやってみると自信に繋がりました。ベトナムから帰って、積極的に自分から行動できるようになったと思います。配属先では、与えられたものをこなすだけではなく自分から動くようにしています」

フィールドワークでリーダーを務めたMA第二事業部の古川真優さん。

— 修羅場をともにした同期は、今後も支え合える仲になったと。

「ベトナム研修は、いろいろありましたが、本当に貴重な経験でした。同期とあれだけ長い時間を一緒に過ごすことはもうないかと思います。異文化に触れるということだけでなく、同期の絆も深まりました。事前準備に何時間もかけ、全員で海外に行き、予想外のことに直面しながらも乗り越え、最後は学んだことを、文字にして、言葉にして発信する。他社ではできない経験です。このような機会を得られて、本当に感謝しています」

— ベトナムでは、仕事に対する姿勢をあらためて考えさせられたとも。

「ベトナムの若者の向上心には驚かされました。家族のためにも海外で働きたいと、すごく真剣な雰囲気を感じました。生活に深刻な状況を抱えている方もいました。自分達の恵まれた環境に気付かされると同時に、何のために働くのか、誰のために働くのか、仕事に対する姿勢をあらためて考えるきっかけになりました」

ハノイ工科大学の学生とディスカッション

質問をボードに書き、街中で朝食中の人々にストリートインタビュー

市場でお店の人にストリートインタビュー

アイティ・アシストの研修は時代にあわせたアレンジが可能

— 研修を受けた社員の成長と変化がたしかに感じられたベトナム研修。試行錯誤を繰り返したカリキュラムのなかでも、とくに高林部長が重視したのがフィールドワークでした。

「フィールドワークはテーマだけ与えて現地に放り出すわけですから、わざわざ不安要素が大きい海外でやらなくてもいいのではという声もありました。しかし、想定外の出来事はビジネスでは頻繁に起きることですし、それが海外であればなおさら。でも、そうしたときに自分には何ができて、何ができないのか。最低限達成しなければいけないことは何なのか。海外研修ではそうしたことも意識して行動してほしいと考えていました。また、海外研修では、おとなしいと思っていた社員が思わぬリーダーシップを発揮するなど、周囲はもちろん、本人も知らなかったような側面を引き出すこともあります。決められたカリキュラムをこなすだけでは、想像できないアウトプットや眠れる能力を引き出す体験ができません。チャレンジできる環境を会社が提供することは大切です。海外研修の体験はすぐに大きな成果にはつながりませんが、長い目で見ればきっとプラスに働いてくれるでしょう」

— 入社以来、新人を見続けてきた高林部長でさえ、正解がないと話す新入社員研修。だからこそ、「重要なのは時代にあわせたアレンジ」(高林部長)。アイティ・アシストのアレンジ力は、「今の時代の人材育成に相応しい」と評価します。

「これまでの新入社員研修は技術重視でしたが、これからは課題解決力や環境対応力が重要になってきます。この点で、アイティ・アシストの対応は早かったです」

— 今後は新入社員研修に加え、さらに長いスパンでの人材育成にも取り組みたいと話す高林部長。変化の早いビジネスシーンにあわせて、人材育成も加速させようとしています。

「AIやRPAなどの時代を迎え、これまでの労働集約型の社会から知識集約型に構造が激変します。そういった時代の潮流の中で、IT企業にはサービス供給型のビジネスモデルが益々求められていきます。ですから、今後は5年後、10年後を見据えた長期的な人材育成をアイティ・アシストと一緒に考えていきたいですね」

— 充実した新入社員研修にプラスして、長期的なキャリアパスも視野に入れ、人材育成に取り組む同社。グローバル化が進むなか、同社が存在感を発揮し続ける理由はここにあるのかもしれません。

取材日時:2017年9月
※ 文中に記載されている数値など情報は、いずれも取材時点のものです

1982年に世界的建設機械メーカー、コマツの全額出資によって小松ソフトウェア開発(株)として設立。コマツの現場で培ったノウハウを強みに製造業で実績を残すとともに、流通・サービス業においても、多くの有名店でクオリカオリジナルのパッケージソフト導入が進む。現在はTISインテックグループの一員として、 国内外の企業の情報システムに関するコンサルティングから開発、運用・保守まで一貫したサービスを提供するグローバルITサービスイノベーター