私たちがやりたい研修を実現させてくれるのはアイティ・アシストだけでした。
NTTテクノクロス株式会社
研修コース 教えない新人研修
NTTテクノクロス株式会社(取材時:NTTソフトウェア株式会社)では、2005年からアイティ・アシストに新入社員研修を依頼しています。研修を導入した背景やその成果、長年継続して依頼している理由などについて詳しく伺いました。
研修の概要
教えない新人研修
IT初学者が半数近くいる中で、プログラミング研修などを行わずにシステム開発の模擬プロジェクトを実施した。 一般的に、新人ITエンジニアの育成では、IT知識やプログラミングを教えてからシステム開発の模擬プロジェクトに取り組む。しかし、本研修は、ビジネススキル、基本の用語や考え方(システム開発3日、Webアプリ3日)だけ講義を行い、システム開発の模擬プロジェクトを実施した。 事前に技術を「教えない」、システム開発の実習中も「教えない(自分で学ぶ、考える)」点が特徴である。
社会人として必要な職場での適切なコミュニケーション能力の習得からはじまり、常に現状を把握し、課題に対して自発的に解決策を考える習慣を身につける。また、開発演習を通じて、ソフトウェア開発を進めるために必要なプロジェクト管理能力、技術スキル、チームワークを学ぶ。
24名(グループ会社の新入社員を含む)
開発工程実習:17日
— NTTソフトウェアの新入社員研修の目的と概要についてお聞かせください。
まず、アイティ・アシストに新入社員向けの「開発工程実習」を依頼して2016年で11年目を迎えました。新入社員が自発的に研修に取り組む「教えない新人研修」のスタイルにしてからは、3年目になります。
NTTソフトウェアの新入社員研修は、三つのパートで構成されています。
一つ目は「会社理解」です。これは、会社の規則やルール、経営方針など、NTTソフトウェアの社員として必要な知識を得るための研修です。
二つ目にビジネスマンの基盤となる「基本動作」の習得があります。ビジネスマナーからはじまり、報連相、PDCAなどの仕事をするうえで必要な姿勢を学びます。
そして三つ目に「業務理解」があります。システム開発の模擬プロジェクトを行う開発工程実習を通じて、チームでシステム開発の進め方を習得します。
— 新入社員に模擬プロジェクトを体験させる狙いは何でしょうか?
当社の主な事業であるソフトウェア開発を行いながら、基本動作で学んだマインドや姿勢、考え方を行動に反映し、実践のなかで定着させることが重要なテーマです。研修の狙いは「技術力を身につけてもらうこと」ではなく、実践しながら、「みずから考えて、行動すること」に主眼を置いています。
アイティ・アシストには、開発工程実習の企画から、実習のファシリテーションまで全面的にサポートしていただいています。
— 開発工程実習について、具体的にご説明ください。
開発工程実習では24名の新入社員が、6名ずつのチームになり、実際のプロジェクトと同様のシチュエーションを作ってソフトウェア開発の模擬プロジェクトを進めます。この研修に関わる育成サイドは、プロジェクトマネージャー役と技術アドバイザー役のアイティ・アシスト講師2名、メンターとして各チームに先輩社員1名ずつ、システム開発を依頼した顧客役としてアイティ・アシストのスタッフと私たち人事部が関わっていきます。
— 開発工程実習に「教えない新人研修」のスタイルを導入した背景は?
二つの背景があります。
一つ目は新入社員に「考える習慣」を身につけてもらうことです。学生時代は「講義を受ける」という受け身のスタンスですから、みずから考えることに慣れていません。自分たちで答えを導き出さなければいけないビジネスの世界において、その姿勢では自分からアクションを起こせません。また、ともすれば「教えてもらってないからできません」という他責思考に陥ってしまうこともあります。自分には何ができるか、自分たちは何をするべきかという自責思考への転換を目指して「教えない新人研修」スタイルの導入を決めました。
また二つ目の理由として、最新のIT知識をキャッチアップする習慣も身につけて欲しいと願っていました。私たちが事業で取り扱うITは多様化し、しかも移り変わりが速いものです。一律に技術知識を付与しても、配属後に全員が同じ知識を必要とするわけではなかったり、教えた知識がすぐに陳腐化したりすることもあります。
このような背景から、当社の新入社員研修では「教える」といった一方通行の知識付与よりも、「考えて、行動し、みずから学ぶ力」を養うことに注力したいと考えました。
— 研修の成果はいかがでしょうか?
教えない新人研修のスタイルを取り入れる前は、配属後に仕事の“How”の部分をストレートにたずねてしまうことがありました。ところが、このスタイルを取り入れるようになってからは、自分が考えたことを確認するようなアプローチに変わりました。与えられた仕事に対して目的意識を持ち、自分なりの進め方を考える癖がついたように感じています。もちろん、観点やアイデアの未熟さはまだありますが、それを踏まえても私たちが期待していた現場で生きるスキルにつながっています。
また、実際に研修を受けた社員からは、「実習を通して身をもって学んだ経験が、今も現場で活かせている」といった声も届いています。特に、上司への報連相の習慣は開発工程実習のなかで鍛えられたので、実務に反映できているとのことです。
私たち人事部としては、配属されてから使えるスキルを身につけてほしいと願って新入社員研修を進めているので、非常に嬉しい成果だと感じています。
— 研修を実施する際に、育成サイドはどのような準備をするのでしょうか。
まず、この研修に育成サイドで関わる人事部、メンター(先輩社員)、アイティ・アシストの講師とスタッフの全員が、きちんと研修のコンセプトを共有できるように、事前にキックオフミーティングを実施しています。キックオフミーティングでは研修の概要と目的のほか、育成サイドの関わり方としてコーチングを取り入れていることを伝えます。
実際、メンター向けのコーチングセミナーも行い、コーチングスキルを高めています。もちろんこのセミナーも、アイティ・アシストに実施していただいています。
— コーチングスタイルで「教えないこと」や「問いかけること」を徹底するとのことですが、育成サイドの想定通りに研修が進まないことはありませんか?
開発工程実習は、想定通り進まないこと自体が「想定通り」です。新入社員たちにとって、チームでのソフトウェア開発は初めての経験なので、進め方に悩んだり、スピード感が出なかったり、あるいは方向性がずれたりすることもあります。しかし、そういった状況になるのは、ある意味「当然のこと」で、それで良いと思っています。
私たち人事部が考える研修の意義は「自分たちで考えてやってみて、必要に応じて見直す」といった、自発的にPDCAをまわす習慣がつくところにありますから。
— 想定通りに進まない場合、講師はどのように対応していましたか?
疑似的なプロジェクトとはいえ、なりゆきに任せた無責任なスタンスではありません。新入社員たちに最後までやり遂げてもらい、ソフトウェア開発の面白さや楽しさ、充実感や達成感を味わって欲しいと願っています。
ですので、新入社員が迷っていたり、あるいは本来やって欲しいことができていなかったりするときには、先ほどのコーチングのアプローチでヒントを与えて、前に進めるように促します。
— コーチングスタイルの研修をしたことで、新入社員たちはどのような反応を示しましたか?
考えることよりも教えてもらうことに慣れている新入社員たちに対して、考えることを求める研修を提供するので戸惑いもあると思いますし、正直なところ不満を感じることもあるでしょう。
具体的には、グループ内で何か課題にぶつかったとき、すぐに講師やメンターに相談するのではなく、どうしたらよいか自分の頭で考えてもらうことを、講師から繰り返し促しました。すると、自分たちで解決策を見出していくようになってきます。新入社員たちにとっては決して楽ではありませんが、このような「悩む経験」が配属後の糧になると考えています。
— 新入社員のマインドや行動面において、特に気付いた変化があれば教えてください。
はい。2016年の変化としては、二つあります。
一つ目は、チームのなかで知識を補う習慣ができたことです。チーム内には、リーダーシップを発揮する人、スケジュール管理をする人、設計書を書く人やプログラミングをする人など、役割分担ができます。しかし、研修という性質上、偏った学びになってしまうことは避けたいので、それぞれの役割を理解するように促しました。
すると、自分の役割を果たしながら、他の役割の理解をどう補うか考える必要がありますので、チームで計画するように働きかけたところ、チーム内で知識を教え合う姿が見られました。
二つ目は、「チームを横断して話し合いたい」という提案が新入社員の方からあったことです。基本的に模擬プロジェクトはチーム単位で話し合いながら進めていますが、それぞれのチームの状況や課題を共有し、より多くの学びを得たいと、新入社員側から講師に提案があったのです。
このような主体的なアクションがあったのは、2016年の開発工程実習のトピックであり、すごく嬉しい出来事でした。
— 開発工程実習を担当した講師についての感想を教えてください。
この開発工程実習は、毎年指名している小曽戸講師なくしては実現できません。
これまでお話した通り、開発工程実習は、技術的なテーマを扱いながらもビジネススキルやコミュニケーション、あとはマネジメントの仕方など、学ぶべきことが多岐にわたっています。場合によっては新入社員のメンタルにも配慮して、モチベーションを高めてあげるような働きかけも必要です。
すると当然ながら研修を担当する講師も技術だけ提供できれば良いわけではなく、幅広いスキルがなければ対応できません。これだけのことを幅広く対応できる講師は、プロの講師のなかでも多くはいらっしゃらないと思います。
— 新入社員たちと講師の間で、印象的に残った具体的なエピソードはありますか?
チームのなかで考えていることを発言できず、不満が溜まっていると感じられるシーンがありました。そのときに小曽戸講師の働きかけで、個人面談を設けることがありました。個人面談といっても堅苦しいものではなく、人事部も席を外して「悩みはないか。研修はどのように感じているか」と気軽に話ができる機会です。
そこで新入社員が感じている本音を引き出して、チームの運営や研修全体の進行に役立てることもありました。新入社員の学びが大きくなるように、状況に応じて計画になかったことでも臨機応変に取り入れて進行に変化をつける多彩さが印象的で、この個人面談も新入社員がモチベーションを高める機会になっていましたね。
— アイティ・アシストならではの特徴はどのような部分でしょうか?
私たちが安心してアイティ・アシストにお任せできている理由は、ヒューマンスキルとテクニカルスキルの両面からお任せできるからです。
私たちが研修を企画する段階で相談をすると、真摯に耳を傾けて誠意と情熱をもって私たちと向きあってくださいます。私たちが思っていることを汲み取って、私たちが持っていない専門的なアイデアをご提案してくださる。私たち以上に私たちのことを考えて、スピード感のあるサービスを提供していただいています。
私今回の開発工程実習においても、アイティ・アシストの関谷さんをはじめ、代表の佐塚さんまでがみずから模擬プロジェクトの顧客役となり、当事者として一緒に研修を創り上げてくださいました。
— 11年間、アイティ・アシストに依頼し続けているのはどのような理由でしょうか?
本当に、私たちの想いをゼロから汲みあげてご提案くださる点を評価しているのと、それから小曽戸講師をはじめとした講師陣の質の高さが理由です。既にパッケージされている研修では、かゆいところに手が届かないことも多いですが、本当の意味で、私たちがやりたい研修を実現させてくれるのはアイティ・アシストだけでした。
— これからの新入社員研修の展望についてお聞かせください。
NTTソフトウェアは、IT企業としてより多くのお客様のビジネスや、抱えていらっしゃる課題解決に貢献したいと考えています。そのためには、社員ひとりひとりが力をつけて、事業の幅を広げる必要があります。
実際に、多様な人材の採用も進めており、今まで以上に個性があり、様々な経験を持った人が入社するようになりました。入社する人材が変われば、やはり、それにあわせて教育の仕方も変えていく必要があります。
ですから、今の研修がベストだと考えず、常に悩み、その時々のベストな方法を考えてチャレンジを続けていきたいと考えています。
— 最後に、アイティ・アシストに向けてメッセージをお願いいたします。
アイティ・アシストには、非常に難しい研修をお願いしています。これだけの困難な研修に親身になって取り組み、誠意と熱意のある対応をしていただきありがとうございます。私たちは、今後も、状況の変化に応じて常に研修を進化させていきたいと考えています。
アイティ・アシストには、これからも末永く、私たちのチャレンジにお付き合いいただければ嬉しいです。
取材日時:2016年10月
※ 文中に記載されている数値など情報は、いずれも取材時点のものです
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